H11.3.25
TEMセルに対する規格の記載
協立電子工業株式会社
1.IEC61000-4-3(1995)
国際電気標準会議(IEC)が制定する IEC61000-4-3(1995)「放射性、無線周波数、電磁界イミュニティ試験」では、80〜1000MHzの放射性電磁界イミュニティ試験法が規定されており、TEM波の発生源として、TEMセルがストリップラインとともに Annex D に記載されている。以下にその内容を示す。
[Annex D](情報)
その他の試験方法 - TEMセル及びストリップライン
ストリップラインは、直流から150MHzまでの小型EUT(0.3×0.3×0.3mのオーダの寸法)を試験するための直線的電磁界の効率的な発生に有用である。縦方向の放射が作られる、従って、EUTは、水平及び垂直試験をするため回転させなければならない。
一様性と外部電磁界の低減は、RF吸収材の使用、また、ストリップラインとその他の反射物との間の距離を少なくとも2mに維持することにより、改善することが出来る。
TEMセルは、発生される電磁界を囲う利点を持っている。しかし、一般には、より小型のEUTの場合でも、せいぜい直流から200MHzまでの周波数範囲でしか適用できない。特別な設計をすれば(例えば G-TEMセル)これ以上の高い周波数の範囲でより大きなEUTへの適用が可能となる。
EUTは、ストリップラインの場合のように水平及び垂直偏波の両方を試験するため、TEMセルの中で回転させなければならない。
ストリップラインとTEMセルは、電磁界の均一性能が満たされ、且つ、EUTと電線が本規格の要求するように配列しうる場合のみ、用いることが出来る。
加えて、EUTと関連する配線の配列は、隔壁と外部導体の間の寸法の1/3を越えることは出来ない。
(KEC:IEC1000シリーズ 96年版より)
2.CISPR 20 (1996) 第3版
CISPR(国際無線障害特別委員会)の公報20(第3版)「音声、テレビジョン受信機および関連機器のイミュニティ特性に関する許容値および測定法」で、150MHz以下の周波数帯の放射妨害排除能力の測定に、TEMセルによる測定法が開放形のストリップラインによる測定法と共に規定されている。
5.1.1 項の周囲電磁界法に 150kHz〜150MHz の測定用装置としてあげられている。5.2.2 項に構造、寸法と原理が詳述されている。
3.EN 55020 (1994)
Cenelec規格、EN55020「放送受信機ならびに関連する装置の電磁イミュニティ」の 19.1 項に「測定値が、関連する周波数範囲内で、規定されたストリップラインにより測定された値から2dB以内であれば、他の寸法または形式のTEMデバイスを使用することは許容される。」と記載されている。
4.ISO11452-3(1995)
ISO(国際標準化機構)の ISO11452-3(1995)「TEMモードセル」に関する規格で、
「TEMセルは特性インピーダンス50Ωの矩形同軸形であること。TEMセ ルはEUTが占める容積が適切であれば(セプタムと外部導体間距離の1/3以 下としている)、2dB以内の電界を発生することができる。また、
TEMセルの試験法はイミュニティの絶対的な試験電界レベルと周波数を決 定できるものではない。比較測定のみ行うことができる。」
と規定している。
測定周波数範囲は10kHz〜200MHzとしているが、500MHzまで測定可能なTEMセルの寸法が、Annex B (情報)に記載されている。
5.95/54/EC
EUにおける自動車指令95/54/EC で、 ANNEX \ の第9節にTEMセルに関する試験法、寸法、試験信号、配線の処理について規定している。
この指令(規格)では、周波数 20〜1000MHz の範囲を「・・・試験法の任意の組み合わせによって要件を満たせばよい。」としているが、TEMセルに関してはANNEX \の Appendix 3 において 200MHz上限のTEMセルの寸法構造の代表例をあげている。
6. SAE J 1113 AUG 84
米国の自動車技術会(SAE)において、自動車用の電子部品および電子装置の電磁気感受性の試験法として発行されている。
この規格では、放射電磁気感受性試験に関して60Hz〜30KHzの磁界、
14KHz〜200MHzの電磁界(TEMセル使用)、14KHz〜1GHzの電磁界(ストリップライン使用)および 200MHz〜18GHz の平面波(遠方界)の測定法について規定されている。
TEMセルに関しては、第7節に14kHz〜200MHzでの測定法について詳述され、上限周波数60〜200MHzまでの寸法が掲載されている。
SAEではTEMセルによる測定法を新しく、SAE J 1113/24 という規格番号が登録されているが、本文は未だ発行されていない模様である。
7. JASO D 001-94
日本の自動車技術会で発行された「自動車用電子機器の環境試験方法通則」で
SAE J 1113a-1978 および MIL-STD-462に準じて作成されたものである。
この規格で、電磁気感受性の試験(この規格では電磁気試験となっている)については、基本的に SAE J 1113 と同じもので、用語や表現および細目について多少の修正、加除が行われている程度である。また、規格内容の必要事項については、解説により補足説明がされている。
この中で放射電磁気感受性の試験に関しては、30Hz〜15KHzの磁界、1〜200MHzの電界(TEMセル使用)および200〜1000MHzの電界(吸収材付シ-ルドル-ム使用)の測定方法について規定されている。
現在、国際規格への整合のための準備が為されており、電磁気環境試験に関しては、国際規格 ISO 11451、ISO 11452 に整合したテクニカルペーパ TP94003が発行されている。
8.CISPR 25 (1995)
CISPR 25「車上で使われる受信機保護のための妨害波の推奨値及び測定法」にTEMセルを使用した規格がある。これは、前述のようなイミュニティ試験のための規格ではなく、TEMセルをアンテナとして使用し、放射妨害波レベルを測定することを目的としている。周波数範囲は150kHz〜200MHzで、TEMセルの形状と周波数帯により限度値を設定するようにしている。
9.SAE J1752/3
SAEの規格で、CISPR25と同様、TEMセルをアンテナとして使用し、放射妨害波レベルを測定することを目的としている。
測定の対象は、小型のプリント基板や、IC単体からの放射妨害波である。周波数は150kHz〜1000MHzまで測定する事を目的としているため、超小型のTEMセルを用いている。
本規格は、上記と同様な目的で、IECの規格に取り入れられようとしており、IEC 61967-2のCD文書が作成されている。
10.IEEE Std 1309-1996
電磁界センサーやプローブの校正法に対する米国電気・電子技術者協会(IEEE)の規格である。
TEMセルを標準電磁界発生装置として利用している。Annex B に 9kHz〜500MHzの周波数における校正の手法を記述している。
ISOにおいても、現在、TC22で本規格のISO化が検討されている。
以上